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星に願いを(2)

 我々が現代で親しんでいる「全天88星座」は、国際天文学連合が、各地域でバラバラに伝承されていた星座を、20世紀になってから国際的に統合して体系化したものです。
 これを眺めていると、特にギリシャ神話に由来する星座(まあ、私からしたら、どの星をどういう神経で見たら、クマに見えたり、神話の登場人物に見えたりするのか謎ですが…)が多くを占め、南半球から見える星座が限られているのが分かります。

 これには、南半球から見える一等星の数が少ないという天文学的な事情が関連しているのは間違いありません。が、それ以上に、「星座」という概念自体が、古くはシュメール人やアッカド人、いわゆるメソポタミア文明の基礎を興した人々が確立したもので、そもそもが「北半球主導」の発想だからとも言えます。

 そんな中、南半球の星座と言えば(っていうかそれしかパッと頭に思い浮かばないのですが)、南十字星(みなみじゅうじ座)が連想されます。
 トリビア的なことを言えば全天88星座の中で最も小さいながら、周囲の中でひときわ明るく見え、南半球のいくつかの国々では国旗のデザインにも取り入れられているほど、南天の星空で象徴的な星座だと言えます。

 …ということで、主に太陽(そして二元性から月)が信仰の対象だったインカの人々も、南十字星をモチーフにしたと思われるオブジェを遺しています。

[…といっても説得力があるかどうか…(苦笑)]

 この石は、次のエントリーで触れる主神殿の手前にひっそりと置かれていて、あまり目立たないのですが(そして私が訪れたとき、一部の観光客の荷物置き場にされていました…=:[)、この石の先端に方位磁石を置くと、それがピタリと南を指すように加工されている、特徴ある石です。

[短い動画ですが、そのスケール感を掴むために(15秒)]

 しかし、天に捧げるオブジェとして特筆すべきは、マチュピチュの最高点に位置するインティワタナでしょう。一説には「日時計」とも解説されていますが、日々の時刻をを把握するために使われた、とまでは実証されてはいないようです。
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[『インティワタナ』とは太陽を繋ぎ止める石、という意味]

 インティワタナは、インカ帝国の都市毎に広く存在したとされていますが、スペインの侵略により、彼らの目についたそれらはことごとく破壊されてしまいました。そして、現存するのは、皮肉なことにスペイン人の目を逃れた、このマチュピチュに遺されたものだけ、となっています。

 マチュピチュを取り囲む山々のパロラマを満喫できると言う点でも、観光客的に訪れておくべきスポットですが、手をかざしてパワーを頂戴するという観光客的お約束の儀式を体験するためにも(これは、むしろ欧米の観光客の方々がやっていました)訪問必須です。

 インティワタナは移動されてこの位置にあるわけではなく、もともとあった大石を削り出したというものです。見事な造形のこのオブジェを動画で。

[角柱の高さは36cm、岩の高さは1.8m(19秒)]

 「インティワタナ」という名称は、後世の人々が名付けたものです。
 古代からインカには冬至の日に祭りを行う習慣がありました。それは日照時間が短くなり、作物の恵みをもたらす太陽が自分から離れていくことのないように、祈りを捧げる儀式でもあります。

 そして、このオブジェも、南十字星の石と同様に、方角を正確に指向するように制作されています。
 具体的には、角柱の各角は東西南北を指していて、冬至の日に、石の角柱の稜を結んだ対角線上を太陽が通過するよう、暦を読む道具、あるいは季節の到来を告げる宗教的な象徴として利用されたと考えられています。
 それが「インティワタナ」の由来となりました。
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[周りにロープが張られていて、触れることは叶いませんが]

 太陽の神殿(「太陽に捧げる祈り」参照)と並んで、マチュピチュで重きを置かれている天体はやはり太陽。
 これにちなんだオブジェには、精緻な石組み、自然石の高度な加工が施され、またインティワタナのように、マチュピチュの最高点に設置されるという、プライオリティの高さが窺えます。

 こうしたことから、マチュピチュがどういう目的で建造されたのか、その一端を想像することができるのです。
 次のエントリーで、マチュピチュの中心に据えられたいわば心臓部に乗り込みます。

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